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#6 Vroom

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Vroomはアメリカで存在感を増しているC2Cのオンラインプラットフォームです。売り手と買い手の情報の非対称性を、今まで紹介した会社とは別の方法で縮めようとしているレイトステージのベンチャー企業です。 0. 企業情報 設立:2013年 本社:アメリカ・ニューヨーク 創業者:Paul Hennessy 主なサービス:オンラインC2Cプラットフォーム 会社形態:Private(Venture-baked) 1. ビジネスモデル Vroomのコアバリューとしては、convenience, value, cost reduction,risk diminishment, brand/statusの五つがあげられている。以下ではそれぞれのコンテクストで、説明をしていきたいと思う。 Vroomは一般的なC2Cビジネスモデルとなるが、差別化のポイントは売り手の掲載車両を自社で完璧に整備をしてから、買い手に納車をするという点になる。現在までに様々な中古車業者を紹介してきたが、それぞれ様々な方法で「情報の非対称性」を解決しようとしている。 Vroomの場合、最も伝統的な方法、つまり自社でメンテナンスをする、といった方法で売り手と買い手の情報格差を縮めようとしている。 これによる副次的な効果としては、買い手側で様々な点を確認する時間を節約できるということがある。整備されていない車の場合、どの箇所が整備されておらず、それを直すにどの程度の金額がかかるか、といったようなことを検討しなければならない。これを1台1台行うので、結構な時間がかかる。時間節約という点でも、Vroomは価値を提供しているといえる。もちろん、Vroom側で車のタイトル移転や、必要に応じて陸送も行う。 また7日間あるいは250マイルのお試し期間を設定し、その期間・距離の間であれば車の返品ができるというものもついている。また、全ての車に90日あるいは6,000マイルの無料保証期間がついている。 2. ファイナンス 中古車の話がでたら、ファイナンスの話も出てくるといっても過言ではないほど、中古車業界でファイナンスの存在感は非常に大きくなってきています。Vroomも30社ほどの金融機関と提携して、豊富な商品ラインラップを取りそろえ、顧客満足を高めています。 3. ...

#4 Guazi ➁

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以前の記事でGuaziの基本的なビジネスモデルと大きな特徴であるオフラインとファイナンスの説明を行いましたが、今回は他の特徴を説明したいと思います。まずは以下のソフトバンクの株主総会のビデオを見てもらいたいと思います。36分20秒から中古車+AIというコンテクストでGuaziが紹介されています。 映像にもあります通り、画像認識により圧倒的に査定が便利になるという話です。こちらの例は業界にいる人から見るとやや極端(だけど業界外の人からみるとわかりやすい例)ではありますが、AIがどのように業界を変えていくかの良い例だと思います。 特徴③適正価格サービス すでに多くの会社が導入をしていますが、Guaziも「瓜子価」という適正価格算出サービスを持っています。車種等の基本情報及び状態等を入力することにより、車両の凡その売価を算出することができます。 瓜子は中古自動車市場価格の不明瞭さに目をつけ「中古車売買、まず「瓜子価」を見よう」と、謳っている。瓜子は蓄積したビッグデータに基づき、完成度の高いスマート価格設定システムを構築した。基本情報である、メーカー、型番、車齢、車両の状態等のみならず、売買成立価格記録、同系列車種のラインナップの更新、取引のタイミング、地域価格差のような特殊原因も考慮に入れ、的確かつ客観的なスマート価格設定システムを完成させた。 特徴④マーケティング プラットフォーム企業がそうであるようにGuaziもマーケティング戦略に力を入れており、SNS、ウェブ広告、TVCM、屋外広告、店舗販促等がある。 事業初期は競合が多く、機能も各社互いに大差がなかったが、その中で瓜子が好感度の高いタレントのCM を膨大な量オンラインビデオコンテンツに投入し、一気に知名度を上げた。中古車の需要が高く若い世代は、オンラインドラマなどのオンラインビデオコンテンツをよく利用している。 また、子供向けアニメにも母親をターゲットにしたTVCM を大量投入し、ドラマ1 回に数回のCM が流れ、ブランドがうんざりされほど浸透した。CM のBGM が「瓜瓜瓜」と連呼し、それも印象深かったという人が多いようだ。 男性ユーザーをターゲットに、2018 年のロシアFIFA ワールドカップ期間、中央テレビの中継サポーターとなり注目を浴びた。 SNS戦...

#5 Yoshi

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中古車業界ではないのですが、自動車アフターマーケット業界は様々な新しいサービスが出てきています。Yoshiという会社は一言でいうと移動式給油サービスなので、真新しさは無いように聞こえますが、シリコンバレー界隈でも多少の注目を集めている企業です。今回は番外編として、こちらの企業を取り上げてみたいと思います。 0. 企業情報 設立:2015年 本社:アメリカ・カリフォルニア 創業者:Nick Alexander 主なサービス:移動式給油&メンテナンスサービス 会社形態:Private(Venture-backed) 1. 創業者 こちらで既に取り上げたDroom, Fair, Guaziの創業者同様、Alexanderも連続起業家です。元々Y combinatorに所属をしており、最初のベンチャー会社Freshplum(Website閲覧者にプロモーションオファーを出すことにより購買を促す仕組みを提供)はTellApart(TellApartはその後Twitterに買収される)に買収された。 その後、Harvard Business Schoolに入り、Yoshiを創立するにいたった。HBSではDan Hunterに出会い、移動式給油を可能とするトラックのプロトタイプを作った。 2016年にはY combinatorのアクセラレータープログラムに入り、通常の移動式給油サービスから、「駐車している間にあなたの車に必要な全てを提供する(everything your car needs, delivered while you park)」というコンセプトを作り上げた。 2. 基本的なビジネスモデル 顧客は$16~のサブスクリプション料金及びガスの実費を支払う。Yoshiのテクニシャンがが毎週家に訪問し、ガソリン補給、簡単な洗車及びオイルエンジン補給を行う。 また、アドオンサービスとして、タイヤ空気圧チェック、ワイパー交換、エンジン清掃、ウォッシャー液補充等を追加できる。顧客には予約日にはガソリン注入口の小窓を空けておくよう指示しており、それにより、ドアを開けずとも、ガソリン補給ができるという仕組みである。 アドオンサービスをつけることにより、ガソリン代のディスカウントを受けることもできる。サービスが終了したら、決済はクレジ...

#4 Guazi ①

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Guazi(瓜子)は中国のオンライン(+オフライン)中古車プラットフォームで、2019年3月にソフトバンクビジョンファンドからの出資も受けた会社です。マーケティング戦略により中国の中では圧倒的なポジションを築きつつあります。 0. 企業情報 設立:2015年 本社:中国 創業者:楊浩涌 主なサービス:オンライン・オフラインC2Cプラットフォーム 会社形態:Private (Unicorn) 1. ビジネスモデル Guaziのビジネスモデルは主にC2Cをメインとしている。当然C2Cで業者を中抜きにすれば、途中で取られるマージンを売り手・買い手に還元できる。Guaziは車両価格の「30%を売り手・買い手に還元する」と話しており、これらにより売り手・買い手両者ともに恩恵を受けている。 また2018年6月からオフライン店舗の展開も行っており、同年12月までの半年間で100店舗超の出店を果たした。オンラインとオフラインをシームレスにつなげることにより、お客様のカスタマージャーニー全てをカバーする体験を提供している。 サービスの核となる中古車販売取引において、瓜子は買い手に「安全、安心」をアピールし、売り手には「販売保証、当日入金、全部代行」の安心、便利さをアピールした(販売保証は一定の基準を満たした車のみ)。 車両の売買両方に、最初の予約から、最後の引渡しまで、瓜子の担当者がつく。売り手は電話番号を登録し、瓜子から予約・査定を行い、最高50%の販売保証金を入金してもらう。その後、車両は瓜子に渡り、瓜子が販売までを代行し、売り手は同行する必要もない。残金は政府の自動車管理機関である「自動車管理所」の譲渡手続き完了後に振込まれる。 つまり、売り手は「販売保証」サービスで時間節約及び金銭面での安心の両方のメリットが得られるのだ。尚、販売保証は車種限定である場合や状態の査定が必要となる場合もある。 売り手には手数料支払は無い。但し、売り手が販売保証のサービスを利用しない(=車を瓜子に渡さない)、または車両の状況が販売保証の基準を満たさない場合、販売する為には情報登録前にデポジット約1,000~2,000 元の支払いが必要である。 デポジットを支払いかつ瓜子に車両掲載をしながら、勝手に他サイトで販売をし...

#3 Fair.com

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Fair.comは先日ソフトバンクビジョンファンドが出資をしたことで有名になりました。Uberのリース部門を$400 millionで買収をし、その後$385 millionをシリーズBラウンドでソフトバンクをリード投資家として取得しました。中古車業界にいる私としても非常によく考えられたビジネスモデルなので、ソフトバンクビジョンファンドが出資する理由も納得の会社です。 0. 企業概要 設立:2016年 本社:アメリカ・カリフォルニア州 創業者:Scott Painter 主なサービス:オンライン中古車リースプラットフォーム 会社形態:Private (Unicorn) 1. ビジネスモデル Fairのビジネスモデルを語弊を恐れずに一言でいうと、中古車サブスクリプションのプラットフォームとなります。Fairがプラットフォームとなり、中古車業者は中古車を掲載し、ユーザーはその中古車をサブスクリプションで取得するというものです。 Fairがその中間に入って、車両の掲載、購入手続き(所有権移転手続き、保険手続き、ロードサイドアシスタント等含む)、車両の引取手続き等を代行する。 Fairも中古車の適正価格算定のアルゴリズムを持っていると考えられ、それを基に毎月のリース価格の計算を行っている。 特徴①:フレキシブルな購買経験 大きな特徴として、Fairのビジネスはリースでもレンタルでもないという点である。一番近いワードはサブスクリプションでしょうか。 上図の通り、車の購入はFairが行い、所有権もFairに移る。しかし実際の利用者は最終ユーザーであり、最終ユーザーは所有と同様のベネフィットを受けることができるのである。 また、返却のプロセスも非常に明快で、5日前までに返却の旨をFairのアプリ上でチャットをするだけだ。そのチャットを基に、車両のピックアップの手続きが開始される。 サブスクリプションモデル同様に、保険やRSA(Road Side Assistance)も含まれている。ただし、これらは月払いとなるので、日割りや返金はない。また、最短契約期間は2ヵ月間である。 また、支払いに関しても多少の柔軟性を持っている。つまり、頭金を多めに払えば月々の支払いは小さくなり、頭金を少なくすれば月々の支払いは増えること...

#2 Carvana

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Carvanaはアメリカ・アリゾナ州フェニックスに本社を置く、オンライン中古車販売会社です。最も有名なのは自動車自販機ではないでしょうか。ディーラーのようにスタッフと接することなく、支払い後に自分の車を自販機で購入できるというものです。 メインはオンラインによる自動車販売会社となりますが、父のErnie Garcia II世が経営しているカーディーラー「Drivetimes」とも何かしらの協業がされていると考えられます。2017年にIPOを果たし、時価総額$9 billion(2019年5月末時点)を超える企業となっています。 自動車自販機 0. 企業概要 設立:2014年 本社:アメリカ・アリゾナ州 創業者:Ernie Garcia III世 主なサービス:オンライン中古車販売 会社形態:Public (NASDAQ) 1. ビジネスモデル Carvana社は中古の自動車をオンラインで直接販売したり、購入された中古車の受け渡しを自動車自販機から受け取れるサービスなどを行っています。自動車の中古車購入は従来は全国各地にある自動車ディーラーから買うのが一般的でしたが、Carvana社のウェブサイトを通じ購入する事ができます。2018年6月時点で全米の150の検査ポイントで品質、性能のチェックを受けた中古車在庫は約11,000台あるようです。 Carvana社のビジネスモデルは自動車の販売者と購入者を繋ぐマーケットプレイス形では無く自社で中古車を購入して販売しています。また車を買いたい購入者向けに融資を行う金融サービス、車登録の煩雑な書類の申請サポート、購入後のアフターケアを行うサービスもあります。 以下ではCarvanaのコアコンピタンスを見ていきたいと思います。 1. シームレスな購入経験 まずは車の検索から購入までが非常にシームレスであるという点。Carvanaでは約10分で車の検索から購入を決定することができます。一般的にディーラーに行った場合、納車時期の決定、保険や保証等の商品選び等で、ゆうに1時間はかかります。Carvanaではそれらの決定を全てwebやアプリ上で行うことができるall in oneの購入経験を提供できています。 またWeb上の検索でもう一つ補足をしておきたいの...

#1 Droom Technology

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最初の会社はDroom Technologyです。Droomはインドのデリー首都エリアのグルガオンにオフィスを持つ、中古車新興テクノロジー企業です。設立は2014年という若い会社ですが、既に従業員450人以上を持ち、インドの国内中古車マーケットシェア約75%超を有する企業です。時価総額も1 billion近くとなり、ユニコーン企業の仲間入りももうすぐと考えられています。 0. 企業概要 社名:Droom Technology Private Limited 設立:2014年6月 本社:シンガポール 創業者:Sandeep Aggarwal 主なサービス:中古車オンラインマーケットプレイス 競合他社:Car Dekho, Car Wale, Car Trade等 Droomプロダクト・サービス一覧 1. オンラインマーケットプレイス ここではDroomのコアサービスであるマーケットプレイスに関して記載をします。インドでは80%以上のオドメーター(走行距離メーター)が改ざんされていると言われ、売り手や中古車自体に対する信頼というものがありません。 経済学の教科書で「情報の非対称性」の一番典型的な例で出てくるのが中古車市場かと思います。 DroomのマーケットプレイスやCertification serviceはそれらの「非対称性」の解決にあたっているサービスになります。 1-1. マーケットプレイスフォーマット フォーマットはB2B, B2C, C2B, C2Cの全てがあります。ウェブサイトを見る限りB2Cの取引が多い(つまり売り手は法人)であるように思われます。 中古車購入者のフローとしては、手数料としては売値の2-3%を車の購入予定者がDroomに前金として支払います。但し、その中には保証やロードサイドサービスが含まれているので、実質的な手数料はより低いものとなっています。 残りの97%-98%は購入者と販売者が車の引き渡しの際に支払います。もし万一、前金手数料を支払った後に商談が破談した場合にも、前金は100%返金されます。 これらのサービスは Buyer Protection と呼ばれ、Droomの一つのサービスラインです。 マーケットプレイスにある他の...